夏はセーリングのベストシーズンと言われますが、ここ数年の夏は屋外でセーリングなんかやってると、熱中症で命に関わるくらいセーリングに向かないシーズンになりました。しかし、そうとは分かっていてもレースイベントはいまだにこの時期の開催が多いわけで、のこのこと参加してくるセーラーがいるのも事実なので何とも言えない。シャバでは呼吸するだけで肺が熱くなるような酷暑に見舞われるので、海の上に行けば幾分マシだろうという考えと、そして7月末からお盆休み明けにかけて、大きなレースイベントが目白押しなことから、酷暑のヨットフリーク月間と銘打って毎年レースキャンペーンを展開してます。
今年の予定はこんな感じ。
- パールレース 7/26~28
- 静岡県知事杯石廊崎レース 8/3
- Trans-Sagami ヨットレース 8/4
- JSAF紀伊水道レース 8/12
- アクサス六甲山蒸溜所CUP 阿波踊りヨットレース 8/14
- 関西ヨットクラブポイントレース 8/18
酷暑のヨットフリーク月間最初の2レースは東海〜相模湾水域へ
その皮切りとなる最初のレースが五ヶ所湾から利島周り、江ノ島フィニッシュの伝統のパールレース(180nm)から始まる。これも、毎年の恒例行事になってしまいました。昨年に引き続き、逗子マリーナをホームポートに活動するConstellation<IMX40>。先日の大島レースに引き続き今年2度目のロングレース。
昨年のパールレースは、風が弱く33時間に渡る長丁場となってしまったので、今年はもう少し早く入りたいなという希望を抱き、レース直前までの予報では翌日の昼までには入れるんじゃなかろうかと思えるようなコンでディションが期待されていました。が、レース雨前日には遠州灘は安定した南西の風が期待できるものの、伊豆大島を抜けて相模湾に入ると風が無さそう。利島を回って大島までは風が安定していそうなので、明け方に利島回航を想定し伊豆半島・大島間の通過を8時ごろ。そこから先は・・・・・
7月26日、五ヶ所湾の伊勢志摩マリーナを出港しスタートエリアに向かうと、ここも風がない。スタートから2時間半ほど経って先行艇の航跡データを見ると、どうも予報にある南東のブローラインは8nmほど南にあるようで、低速1〜2ktsでひたすら南下を余儀なくされてしまった。
想定よりも4時間遅れてブローラインに乗り、進路東へ。利島まで126nmの最長レグ。微風時にあげたA1A3をそのまま上げて帆走っていたが、今となっては明るい間だけでもA2に変えればよかったなと後悔。日も落ちて夜になると、予報通りもう1レベル風が強くなり、日付けが変わることには20ktsオーバー。
深夜の爆走ジェネカーラン祭り
丑三つ時には25ktsオーバーに。基本的に頭があまり良く無いので最大27ktsのガストと波高3mほどのうねりの中、フルパワーで爆走。ドライブ、メインシート、ピット(25ktsオーバーでうねりが大きくなるとバングトリムが絶対必要)に同乗しているLysitheaメンバーを据えて、時より対水速が15ktsを超えるパワーセーリングを存分に楽しみました。3時間もステアリングやってると流石に疲れたので、20kts程度に風が落ち着いてきたタイミングでお役御免にしてもらい、ワッチオフ。昨年は3時間のワッチオフから出てきたら、現在地が全く変わっていなかった恐怖体験がありましたが、今年はそんなことは起こらないだろうと思っていたら、今年は全然別の事象が発生。
思ってたより南に来てしまった
明け方にかけて、風は真西に回る予報だったので南下するのは仕方ないとしても。スタート直後も南西というより西南西寄りの風だったので、そもそも想定よりも南を帆走っていた分で。西振れのタイミングも若干早まった所為か、ワッチオフから出てきてチャートを見ると、神津島よりも南にいて三宅島向いて帆走ってる。艇団も南北(黒潮本流目指して北上した艇、風のシフトの良い方へと南下した艇)に大きく分かれていて、さらに南を帆走している艇もいたくらいだ。
風も20ktsを切る程度に落ちてきたので、A1A3からA2にジェネカーをチェンジして、神津島、新島の西を北上、利島の東をすり抜ける方向にヘディングを向けた。利島を回るとレースコースの2/3は消化しているものの、実際はここからが奥が深い。選択肢としては3つある。
- 最短ルートとなる大島大島北東端を掠めるルート
- 少し伊豆半島よりに寄せて黒潮本流に乗って三浦半島手前まで流されていくルート(結構無駄な距離帆走る)
- 伊豆大島の東を抜け、東京湾の入り口付近から三浦半島の西を進むルート(黒潮の反流に長い時間乗れる)
東風や艇の性能に制約がある場合でも無い限り3つ目の選択肢は取らないとして。大島からどのくらいの距離をとっておくかが結構ポイントになる気がする。航跡図では結構際を通っているように見えるが、2〜3nmほど大島から西を通過している。潮には押されているし、距離もそこまで無駄に帆走っていない。
大島を抜けて相模湾内に艇を進めると、予報通り風がなくなってきた。圧倒的に先を行かれていると思っていたSUMMER GIRL<Club Swan-42>とのふ〜ぞ<Sydnney GTS-43>が、湾の中央部で苦しんでいて、先行艇団も数マイルの範囲内にいるが、この数マイルが遠い。艇速はどんどん落ちていき、潮で流されている分対地は1kts程度出ているが、対水は0kts。そして風が無いと暑い。今年の夏は海水温が以上に高いので海上でも平気で35℃以上ありそうな体感。地上の気温もアホみたいに高いのでシーブリーズの吹き込みタイミングも比較的早かったものの、沖合ではそこまで強く吹くわけでもなく。5kts前後の低速で少しずつ艇を進める。気がつくとお昼を回っていた・・・
残航時間1時間が2時間続く地獄
江ノ島が至近距離で見えてきた。先行艇が長い時間苦しんでいたおかげもあって、Division別の成績もそこまで悪くないポジションにいた。残航5nmを切って艇速も6kts強で順調にフィニッシュできるかと思ったのも束の間、夕凪が始まったのか、風が落ち始めた。地上はあんなに暑そうなのに。。。
江ノ島の手前2nmで風が完全に止まり、周囲にいた艇は皆漂流状態。誰が一番初めに微風でも掴むのかの神経線に。無論、2時間も漂っていたら修正成績はどうしようも無い。少なくとも目の前にいる艇は抜いてやりたい。と、試行錯誤の末艇団から離れたのが功を奏し、そよ風程度の弱いパフを掴んで江ノ島の南から暗礁スレスレを通過、風を捉えきれずに漂っている艇団のそばを交わしてそのままフィニッシュラインを通過。30時間32分01秒のパールレースは幕を閉じました。
よくよく考えると、無風地獄だった昨年のパールレースと3時間しか違わない。相模湾で相当苦しんだということか。
パールレースを終えた翌週はまた、相模湾。金曜日の仕事を早々に切り上げ下田へ向かい、石廊崎レースとトランス相模へ。そのまた翌週はJSAF紀伊水道レースと阿波踊りヨットレースとづづき、酷暑のヨット月間は9月末まで続くのでした。