諸般の事情により出航後すぐにホームポートに引き返すことになったことがきっかけで、勢い余って琵琶湖にマイレディを買ってしまって早1年。1年前の妄想が形になりました。
GWは外洋系レースが毎年開催されるようになった(沖縄東海レースと小笠原レースがそれぞれ隔年で開催される)ため、それに参加するメンバーがいることから、規模を縮小しての開催が続いてましたが、今年は2艇体制で大々的に、と言いつつ何だかんだで予定が詰まっていき、この冬の異常な暖かさで桜の開花も早まるだろうからと企画が決まって募集をかけたのは2週間前。この頃は、もしかすると桜残ってるんじゃね?と思えるようなコンディションになっていました。
手懐けるのに1年かかった
昨年春に売買契約を済ませて、GW明けの引き渡し。1988年8月に進水・初度登録とのことで、船齢35年の割には、淡水使用の船なので、海で使われている艇と比較してもかなり綺麗な部類で、前オーナーが内装に拘って手を入れてくれていたので、船としてはほぼほぼ完成された状態でした。が、いざ動かすとなるとエンジンの水温警告問題から、メインセールが使い物にならない問題等が山積し、一つずつ潰していくのに意外と時間がかかる。
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メインセールはリーチローチ120%に拡大したデザインで新調。ことエンジンに関しては、センサー類を全交換、ミキシングエルボーと冷却水循環経路の掃除等々いろいろ試したもの解決せず、出航1週間前に、上架しての船底掃除と給水口点検を決意。金曜日に上架設備のある最寄りの大津港マリーナに回航し、苔落とし。
5年上げていなかった選定は結構ひどい有様で、「あ〜、これでは帆走らんわなぁ〜」と納得。
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Lysithea(First300)も平水では6kts以上出るし、普段は7kts巡航とか贅沢な事ばかり言っているので忘れがちですが、My Ladyの船内機仕様は8psの1GM10。こんな小さな可愛らしいエンジンに1.7tあって船底ドロドロの船を6ktsで動かせとか所詮無理な相談で(そういえば先代艇のCatalina25は9.9psの船外機で5ktsちょいだった)、流石にサディストぶりを発揮しすぎだったと反省。冷却水温度が警告値まで上がり切らない回転域をようやく見つけ出し、クルージング前日に全ての問題が無事に解決しました。
ちなみに、船底を掃除して無風の平水で巡航回転域で回すと、5.7ktsほど。まぁ、そこそこ優秀です。
暖冬による桜開花予測の大混乱
冬の暖かさの影響もあって、今年の桜は開花が早いだろうと言われていたが、思いの外例年より遅いくらいのタイミングで咲き始めたようで、今回のクルージングも、例年の実施時期より1週間遅く計画していたので葉桜覚悟。結局移動中の宴会が目的だったりする。
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これは、翌週いい感じの桜吹雪が期待できるかなとか言っている翌日には、冬に逆戻りの最後の寒波が襲来したことで、思いの外開花が進まなかったようです。
満員御礼
急な企画にも関わらず、総勢11名の大所帯に。Lysithea ivと僚艇『睡蓮(Y-30A Scampi)』に分かれて、ホームポートの柳ヶ崎を出港。先日の船底掃除の甲斐あって、快調に艇を進める。
船足を稼げるLysitheaは、白髭神社の水上鳥居を経由して、初日に下船するメンバーがいることから海津大崎に寄ってから近江今津港に入るプラン。
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やはり、開花後の寒波の影響によりこの週末まで持ってくれたようです。ちなみに、翌日はもう桜吹雪になっていました。
花より団子、本来の目的はコレ
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海津大崎の桜を満喫したのちは、少し南にある近江今津港に舫をとり、港のすぐ近くにある料理旅館「丸茂」へ。コロナ騒ぎの中で見つけたこの旅館は、以後定宿として毎年利用しています。
今回のクルージング最大の目的とも言える、キジ鍋パーティ。
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いろいろ解説してもアレなので、一度足を運んで食べてみてください。ちなみに、先付で出てくる鯉の薄造りも絶品です。翌日の朝食は、キジ鍋の出汁で作る雑炊。これも雉と野菜のいい出汁が出ています。
2日目はいつものコース
日の当たり方によって見え方も異なるということで、初日に海津大崎に回る時間があったとしても、2日目の朝ももう一回寄るのが常。東から日が当たるとまた違った表情が見えてきます。
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海津大崎を後にして、次は長浜市の沖合約2.7nmに位置する竹生島へ。ここは、数年前の『舵』誌の企画でも取り上げてもらった、桜の名所の一つ。基本的に、彦根か今津から船で渡るしか渡航方法がなく、船が満員になってしまうと上陸できません。
琵琶湖汽船HPに観光案内があります。https://www.biwakokisen.co.jp/tourist_info/tourist_area_cat/chikubushima
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島内にある都久夫須麻神社 竜神拝所では、毎年の恒例行事となる儀式、1年の航海安全祈願としての「かわらなげ」。投げたかわらけが鳥居をくぐればOKだが、これが結構難しく、しっかり風を読んで投げないとあらぬ方向に飛んでいって、下手をすると宮崎にすら乗らず、湖に落ちていくことも。これもなかなか奥が深いです。
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プレジャーボートで竹生島に行く場合、一応岸壁の端であれば係留させてもらえる可能性もありますが、観光船が頻繁に出入りするので、結構危険。島の職員が通勤に使用する船を付ける湾港もありますが、開口部が狭いので、特にセールボートで行く場合は、底の暗岩、上の樹木に注意しないといけません。
一時的な係留に関しては特に何か言われることはありませんが、停められる数に限りがあるので長居は禁物。用が済んだら次の船が入れるように早めに出港してあげましょう。
琵琶湖の孀婦岩「沖の白石」から帰路へ、そして
竹生島を出港すると、睡蓮一行とは分かれて沖の白石経由で柳ヶ崎への帰路につく。琵琶湖の真ん中にある岩で、水深80mのエリアにポツンと4つ顔を出しています。
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ちなみに、竹生島と沖の白石を回るオーバーナイトレースがあるらしい。船が完璧に仕上がったら1回出てみたいかも。
初日から引き続き、本当に風も波もない琵琶湖。ここまで穏やかな日が週末2日間とも続くのも珍しいくらい。完全に機走のみのクルージング。白石を超えると沖島の西を通過、琵琶湖大橋を抜けて南湖へ。南湖では北寄りの風がそよそよと吹いていて、一応セールは風を受けているようでした。
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南湖に入ってからは、若干の追い風の恩恵も受けて5.8〜6ktsで南下。16時55分に柳ヶ崎に帰港。
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おそらく1時間ほど遅れて帰ってくる睡蓮を待ちつつ、片付けのサポートをできるように早々に船を片付けて、ドローンで偵察にと飛行中に1本の電話が。
「唐崎沖でエンジン止まった。多分、ガス欠」とのことで、風さえあればどうにでもなるが、1時間前と比較しても風は落ちていて、これは真夜中になるなぁということで、おかわりのナイトクルージングへ。
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船齢51年のオールドレディ。年に1回往復で60nmの航湖に駆り出され、風が吹いた日にはスカンピで艇速10kts超えても平気で乗ってるガチ勢連中なので、艇からしたらいい迷惑かも。
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予備に用意していた経由を渡して、心配蘇生を試みるも燃料ラインにエアが噛んでしまったみたいで、短時間での再起不能に。そのまま、曳航して柳ヶ崎まで帰港。昨年に引き続き唐崎沖は何かありますねぇ。
それでもエンジン止まってあちゃ〜、だけでこんなトラブルもお楽しみの1つ。どうやら初日も色々あったみたいで、51歳のヨットだもん。色々あるよの精神はみなさん忘れてません。
琵琶湖も色々と面白いところがたくさんあって、特に湖東はあまりいったことがありません。沖島とかも俗世間からの逃亡にちょうどいいかも。マリンライフもいいですがレイクライフもなかなか楽しめそうです。
Photo by Y.Fujinaga<Lysithea>, M.Dohman, R.Hayashida, M.Matsuura