メルボルン・大阪ダブルハンドヨットレース(通称:メル阪)の最後の1日を体験しようと言う、いいとこ取りの企画から始まった大阪北港ヨットクラブ主催の「大阪湾ダブルハンドヨットレース」。淡輪ヨットハーバー沖をスタートし、関空沖を通過して淀川を遡上、舞洲北側にフィニッシュする22nmを乗員2名で帆走します。少しでもメル阪の雰囲気を味わってもらうと言う趣旨から、大阪湾内を帆走るだけですが参加艇にはジャックラインとハーネスラインの装備が求められます。
昨年の大会からJOSA(日本オーシャンセーラー協会)がスポンサーに変わり、総合優勝艇にはヨットレース持続価給付金(事実上の賞金w)100,000円が送られる賞金レース。関西でも賞金の出るレースは数少なく。大阪湾水域からガチ勢が集まります。
急遽参加を決定
レースが開催された9月23日〜24日は、沖縄で伊江島レースが開催予定でLysitheaチームはこちらへの参加を予定していました。しかし、伊江島レースは諸般の事情により早々に中止が決定。その代わりに呉沖から松山までの「瀬戸内海横断レース」と「松山オレンジカップ」の予備日に指定されていたため、天候如何によっては広島行きになる可能性もあったので、大阪湾ダブルハンドヨットレースへの参加は検討すらしていませんでした。
西内海水域で予定されていた2つのレースが予定通り開催されそうになったことから、この2日間の予定がまるまる空くことになり、「だったら賞金取りに行こう」と参加を決定。どちらにしろレイトエントリーになるため、参加申し込みをギリギリまで遅らせ、長期予報ではあるものの当日のコンディションがあらかた予想できる状態になるのを待つ。
大阪湾を縦断するレースはダブルハンドレース以外にも春に開催されていて、大体レース後半に風が上がってきて、レーティングの低い後続艇に修正で喰われるという事象が頻発している。今回はというと、どうにもレース後半に風が落ちるような予報になっていて、北寄りの風で上りになりそう。なら、船足の速い艇で先行逃げ切りを狙おう。と、言うことで、KINE KINEのKオーナーのご厚意で、西宮のX4を借り受けてのエントリー。淡輪での寝泊まりを考えるとX4一択なんですけどね。
今日こんなに頑張らんでええねん
KYCオータムレガッタ不参加のため、しばらく出番が無いはずだった旗艦X4。ダブルハンドなので少量の買い出しと積み込み、ジャックラインを取り付け淡輪に向けて出港。追い風に押されて、10時半に西宮を出港して、淡輪着が13時50分。関空沖あたりでは20kts近い風が吹いていたので、「今日この風要らんねん」と悪態をついていた。実際、この時すでに次の日の予報は必要以上の落ち傾向になっていた。
淡輪に入港し、同じくKYCから参加のTAM(Archambault-40)の御2人と0次会を艇の上でスタート。明日のライバル艇なので、陸で潰しておこう作戦ではありませんよ。着岸時に舫取っていただいてありがとうございました。
前夜祭も復活
前回参加した時はコロナ騒ぎ真っ只中。前夜祭が無くなり、Bella NotteとKINE KINEの合同宴会をやった記憶があります。最後はコクピットで酒盛りしてたような・・・
今年は前夜祭もフルスケールで開催。一応艇ごとに席が決まっていたらしいですが、一度も自席に行くことなく終わってしまった。前夜祭後はBar KINE KINEにJOSAの貴帆オーナー・北田さんを招いての2次会。翌朝早いのに結構遅くまで呑んでいました。昼から風が落ちるのか、コースは岸寄りか沖出しか。前夜祭では翌日のコース取りについての話題に尽きない
予定通りの北風(ちょっと東寄り)
2日酔いの体を引きずりながら淡輪ヨットハーバーを出港。レース海面へ移動しなかがスターボードサイドのジャックラインを装着し、メインセールをホイスト。えらくアウター有利に打たれたスタートライン。アウター付近からポートスタートを狙うもなぜかスターボードタックで突っ込んでくる艇が多数。
関空西方エリアまではクローズリーチ、そこから新島の角まではほぼ真上りの風向。空気も澄んでいて、大阪湾の全域が見渡せるクリアなコンディションで、比較的湾全域で風が吹いているようでした。
関空を抜けて浜寺沖あたりまでは特にアクションを起こし様がなく、手堅く帆走るのみ。東振れ傾向の予報にも関わらず、北寄りに風が回り始め、風も7kts台まで落ち始める。こうなると、水・燃料(軽油とアルコール)満載で総重量10t近いX4と、おそらく軽荷重量からほとんどプラスが無さそうなTAMがジリジリと前に出てくる。風のシフトによって前に出たり反対に出られたりを繰り返し、南港沖でTAMがアクションを起こす。
タックを返して岸よりへ。
本来この日のセオリーは此方だろう。風も若干強そうに見えるが、弱いながらも左シフト傾向は続いており、当該時間帯の潮流予報だと普段KYCレースをしている西宮一文字沖は東流となっている。ある種の賭けで、コンディション的に不利なTAMの下で返すことは止め、六甲アイランド方面に向けて艇を進める。東水路の入り口付近でタックを返して新島方面へ。東へ延ばしたTAMは思ったほど伸びておらず、北振れのゲインが予想以上に大きかった模様。しかし、新島の北縁で風が東に降るのは織り込み済みで、結果結構沖合で大きく右振れし、7~8艇身程先行される。今回Archambault-40に対してレーティングが+0.002と激辛。1時間で7.2秒を先行、所要時間4時間を想定すると28.8秒の先行で、5艇身くらい前で入らないといけない。修正では厳しいかもしれないが、ラインオナーは死守したい。
レースエリアは淀川へ
年末に開催されるシドニーホバートヨットレースでも、ダーウェントリバーに入ってから順位がひっくり返ることがザラにある。遠く離れた艇をケアするのは無理でも、風向が安定しない川の中に入ってしまえば、風の振れを細かく予想して、最適な場所に艇を持っていくことができれば、10艇身20艇身は簡単にひっくり返せる。
少し海側に出て来たとはいえ、フィニッシュラインはかなり奥にあるので、陸から風が吹いてくる当日傾向に合わせて、まずは新島、ある程度右振れが進行したら今度は尼崎へ。川の中心でTAMのコースとクロスした際にすでに2分程度のゲインを獲得。尼崎沖で今度は20°ほど北振れし、デイセーリングを楽しんでいただけたMy Ladyを躱してフィニッシュラインへ。
4時間帆走って約3分半の接戦を制しラインオナーは死守。修正は後続がどのタイミングで入ってくるかでまだわからない状態ではあるものの、上位は硬いとの希望的観測をもとに新西宮YHに帰港。艇を上架して後片付けを済ませて、車で北港YCへ。
3分35秒
北港ヨットクラブのクラブハウスに到着して程なく、表彰式。
ラインオナーを競り合ったTAMがClass-Aの3位。となると、X4とは修正ではほとんど差が無いため、航続に喰われてる。細かく時間計算してると、少ない情報でもあらかたの結果が見えてしまう悲しい宿命。
X4は修正でClass-Aの2位。総合も選考で逃げ切ったClass-A勢が総取りし、レース持続化給付金(賞金10万円)はDECISION5<Sun Fast-3300>の手に。その差ネットで3分35秒。
こうなると来年も出ない訳には行かなくなったので、持続化給付金獲得を狙って頑張ろうと思います。
Photo by OHYC / T.Moriyama / Y.Fujinaga<Lysithea>