山口県豊浦郡の室津フィッシャリーナに入るには、山の上に見える『動かない観覧車』を目印にすると良い。
波により浸食された、奇岩の多いこの地は、私達には本州では最後の寄港地となるだろう。室津には立派なポンツーンに電気水道設備も整い、大小様々な沢山のヨットが係留されている。
地元の「響帆走クラブ」の方々による管理で、日本中のヨットがこの地を訪れてくれるようにと、外来のヨットには無料で停泊地を提供して下さっている。
しかし、現在、町長の独断で管理契約した業者が入り込み、響き帆走クラブと対立し、戦々恐々とした様子が伺える。
「もし、私達の手から離れることがあっても、高い料金にしないよう努力しますからね」と、現在ボランティアで管理されているクラブの方は言った。
航海中出会う船の間で必ず交される停泊地の情報交換では、「室津は最高だよ」と言う声をたくさん聞いた。その室津に、寄港地として入れる日をとても楽しみにしていたのだ。
なんとかならないものだろうか。
11月22日、室津を出た私達は一路福岡へと向かった。
響灘、玄界灘と、ここは小型船の墓場とも言うべき海域だが、この日はとても落ち着いていた。しかし、大島付近に来ると、三角波が立ち始めた。
うっかり波の背に乗せられ、操船不能になり島の沿岸にある暗礁に打ち砕かれた船も多いのだろう、すれ違う大きな貨物船もピッチングしている、やはり落ち着いているとはいえ油断は禁物である。博多港の入り口もうねりが大きく、波も立っている、セイルを港の入り口で下ろす。
入り口に比べて博多港は驚くほど奥に広い。
大きな観覧車が目印のマリノアマリーナには、夫の友人である岸本さんが向かえに来て下さった。その夜は自宅で美味しい食事をご馳走になり、犬まで一緒に泊めていただき、久しぶりに揺れない所で眠る落ち着いた感覚を思い出した。
美保関神社で
岸本さんと |
岸本さん宅でそば打ちお手伝いの愛ちゃん |
翌日、ラーメン好きの私達を、岸本さん贔屓の老舗とんこつラーメンのお店に連れて行っていただいた。こってりとした、とんこつスープに、高菜漬を一味で味付けたもの、生にんにく、ゴマ、紅しょうがを好みで入れ、自分なりの味を作るのだ。
そのスープで細麺を食べたあと、替え玉してもよし、ご飯を入れてもよし、最後の1滴まで味わいつくす。価格も安く、ラーメン一杯450円替え玉100円。
私達は翌日もこの店に出かけてしまった。
「ガイドブックにある有名な店に行きましょうか・・」という岸本さんについて行くと、路地裏に長蛇の列ができており、私達はその最後尾に並んだ。
しばらくすると、店員から注文票を配られ、麺の固さからスープの好みまでを詳細に書き込む。そして食券を買う。ラーメン一杯650円。
店の入り口で、「お2階の18番19番にどうぞ」と言われるままに席を探すと、そこは全席カウンターであり、選挙の投票所のように左右を壁で仕切られ、正面には短い暖簾だけ。店員の姿は首から下、腰から上しか見えず、先ほど記入した注文表をテーブルに置くと、程なくラーメンが目の前に運ばれてくるというシステムであった。
暖簾には店主の心意気だろうか、「ラーメンだけに集中して食するべし」という内容の文が書かれている。
味は美味しいけれど、私は賑わう店で、人の美味しそうに食べる姿を見るのも好きなのでこのシステムは退屈に感じた。
天気の良い11月28日、ハウステンボスでの再会を約束し、お世話になった岸本さんご夫妻と別れ、
次の寄港地平戸に向かった。
11/19 鳥取県境港 出港
11/20 山口県室津 入港
11/22 室津 出港
11/22 福岡県博多港マリノアマリーナ入港
11/28 マリノア出港 |
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