境港
美保湾に近づくにつれ、風は益々強くなってきた。
眠い目をこすりながら、もう少しとばかりに、地蔵埼の美保関灯台を探すも、雨風強くなかなか見つからない。GPSを頼りに湾に近づくにつれて、徐々に辺りは明るくなり、風も少しずつおさまってきた。そして、美保湾を奥へ奥へと進むと、前方に白い砂の美保の松原が広がる。

ハーモニーは「境港公共マリーナ」に入港した。
ここは、入り口が浅く、2メートル以下になっている所もある。
恐る恐るゆっくりと進入し、今回は事なきを得た。
境港はヨットのレーザーが盛んであり、優秀なセイラーを全国に送り出している。そして、学生達のヨットへの志を、いまだ現役で活躍する大人たちが支えている。境港では50代の現役レーサーである村上さん、澤さんの訪問を受け、地元でレーザーを盛り上げるためのお話を伺う。

浮き沈みを経験しながら20年以上も一つの事にかかわり続けるというのは大変なご苦労であろうと思う。又、鳥取県外洋ヨット協会の中島さんには、お風呂や洗濯に連れて行って頂き、本当にきめ細かなお世話をして下さり、ことばでは感謝しきれないくらいお世話になった。

境港公共マリーナ

愛ちゃんとハーモニー

公共マリーナ事務所


境港駅前


ゲゲゲの鬼太郎と
愛ちゃん高田さん
境港は居心地の良い所で、これまでのどんよりとした気候ではなく、明らかに季節が少し戻ったことを実感した。次々に黒い雲とともに、アラレやヒョウの降る、底冷えのする気候とは異なり、和歌山育ちの私にはとても過ごしやすかった。
しばし、移動を忘れて、出雲大社や美保関に観光する心のゆとりも生まれていた。
毎朝、コーギー犬のピディと散歩し、その後ハーモニーでお茶を飲む村上さんや講義で忙しい間に来て下さる澤さん達と、色々なヨットの話を聞くのは楽しいひと時で腰も重くなる。
このハーバーには、西風の吹く朝方、15キロ以上あるような、大きな赤イカが入ってくる。
「このイカは夫婦で入ってきとるんです。で、メスを先にとると、オスはウロウロしてメスをさがすんですわ。だからオスもとれるんです。でもオスを先に捕まえると、メスは『サッ!』と逃げてしまうんですよ。こげなこと女性の前で言うと怒られますがね・・・。」と、中島さんは言った。
このイカは一度冷凍してから、刺身で食べると、モチモチして、美味しいというので、翌日から毎朝、ハーバー内を探してみたが、見つけることはできなかった。

境港マリーナで
獲れた赤いか

出雲大社


11月19日、中島さんの見送りを受け、村上さんにアンカーを上げていただく。
「僕がこのアンカーを入れたので、アンカーを抜いてさようならとしましょう。」という。港の中程まで伴走して下さり、「またどこかで会いましょう」と別れた。
すがすがしい出会いと別れを経験すると、「この旅を続けていてよかったな」と思う。
旅の醍醐味は人との出会いだろう。港を出るたび、緊張しながら入った時とは裏腹に沢山の思い出をもらえた喜びで名残惜しさが募る。
次はどんな出会いだろうか。

モコちゃん


境港出港の日
愛ちゃん

境港出港の日
村上さん
境港  入港 11/11  出港 11/19



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