昔は各地で開催されていたオーバーナイトレースも最近では数を減らしてしまいました。WOYCでも沼島回航オーバーナイトレースを実施していましたが、それも何年前のことやら。
大阪湾一周ヨットレースは関西ヨットクラブのポイントレースの1つとして、毎年6月頭に開催されるレースで、その名の通り大阪湾の奥深く新西宮ヨットハーバーの堤防沖すぐをスタートして洲本沖のマークを回航して西宮浜と芦屋浜間の水路にフィニッシュする約57.2nmのコース。大阪湾を往復するだけの単純なコースですが、大阪〜関空寄りを行くのか神戸〜淡路寄りを行くのかでコース取りが分かれ、東岸と西岸で風も異なるため、戦略的にも奥が深いレースです。
午後からハーバーに赴き艇の準備。レースはKINE KINE-X4<X4³>で参加。10t超えの重量級なので微風は苦手。メンバーはいつものメンツとパールレースの練習兼ねて関東からの助っ人2名。この大阪湾一周レースは強烈な潮と必ずと言っていいほど発生する風が止まる時間がかなりの曲者で、今年は最大レーティング艇となるため、止まってる時間が長いと翌日午後から吹き上がってくる風で後続に喰われる可能性は高まるので辛いところ。
WOYCレースにも参戦したことがあるClaris Forte <Y-31Festa Mod>にはMarine Coralの岩出さんが乗られていました。
スタートは19時、思惑が交錯する西宮沖
スタートは日没直前の19時。スタート直後の夕焼けはこのレースの醍醐味でピーク(もう!?)もあります。もちろん晴れていればの話ですが。
6月頭の19時はまだ明るい時間帯で、先述のように神戸に行くのか大阪に行くのか確定が策略を巡らせています。指定回航点となる神戸六甲アイランド東水路中央灯浮標を超える頃には日が落ちて周囲が闇に包まれる。そうなると、各艇は航海灯かAISでしか場所が分からなくなる。
関空沖ルートで折り返し1着回航
深夜に風が止まる予報の中、できるだけ先に進んでおこうとジェネカーランで艇を進める。和歌山や海南で大きな被害をもたらした3日前の大雨の影響で、大阪湾は漂流物だらけ。1回かなり大きなゴミをラダーに引っ掛けたようで、ステアリングが左右に振られる。強行手段でなんとかラダーからゴミを外すことに成功したものの、完全には取れていない様子。
うまくシフトに合わせて帆走できたので、23時過ぎに洲本沖のマークを回航。折り返し後後続艇とすれ違うわけですが、みなさん意外と近い所にいる。洲本までの往路が第1レースでひとまず成績が付く。4時間程度の帆走時間なので修正は厳しそう。ちなみに、昨年は洲本の回航が朝4時でした。
2時間の漂流と大阪湾ゴミベルト
この日は満月。月明かりは偉大で、先日の大雨の甲斐もあって空気も綺麗。夜なのにものすごく視界のいい一晩でした。ただ、満月=大潮ということなので、深夜1時ごろから風が落ち始めると潮の影響をもろに受ける。風が止まった時間が1時間ほどあり、泉南沖ではかなりの悪戦苦闘。
関空沖では潮目に大量の漂流物が塊になっている箇所があり、無風に苦しんでいる最中に遠くに見える黒い影は、風のように見える。近づいてきても何の変化も起こらないので、もしやと思って見に行ったクルーがライトで照らすと、風ではなく大雨の影響で海に流されれきた大量のゴミ。こんなのに突っ込んだら・・・
夜明け〜フィニッシュ
満月なので月の入りのすぐ後に日の出を迎える。本当に明るい夜でした。日の出の後は夜担当はお役御免。2時間ほど仮眠をとって、目覚める頃には神戸空港東方沖。
大体、六アイ水路で風が止まってここで数時間苦しむことになるのですが、今年は止まることなく西宮沖防波堤を通過。学生達のディンギーが帆走る中、大阪湾を夜通し帆走ってきた選りすぐりのマゾヒストたちが芦屋西宮水路のフィニッシュラインを目指して最後のアプローチ。10時58分52秒にフィニッシュ、所要時間15時間58分52秒の長旅でした。
国内的にも外洋レースを除くとオーバーナイトレースが減ってきていて、関西はこの大阪湾一周レースと琵琶湖の竹生島レースの2つだけ。もう一つの竹生島レースは9月末に開催予定で、Lysithea Ⅳでの参加を検討中です。夜間航行取ってたかな?
Photo by R.Hayashida, A.Miyakawa, Y.Fujinaga KINE KINE-X4